いつの間にか 正午になっていた。

私 「おなか すいた? なんか食べる?」

と 私が聞くと 彼は コンビニで買ってきたお菓子を

ぼりぼり 食べ始めた。

私 「コーヒーいれようか?」

彼 「いや いいよ」

ちょっと時間で 彼は一袋 たいらげていた。

え? なんか変?

今まで こんな食べ方 したことないのに?

奇妙な違和感があった。

彼は いつものように リラックスしてないように感じた。

おかしい? そう思った時

彼はスクっと立ち上がり 携帯の方へ。

彼 「電話が入ってる」

そう言って かけ直し始める。

こういうことは 何度かあった。

主に お仕事の話だった。

私は またか・・・と思い

お風呂場に行った。

ドアの隙間から 彼の声が漏れている。

「10日じゃなかったのか? 10日っていってたじゃないか・・・」

今でも この言葉が 耳に残っている。

電話が終わった。

ドアを開けたら 彼は ベッドに後ろ向きに座っている。

その姿が あまりにも弱弱しく 悲しげに見えた。

私 「帰らないといけないんでしょ?」

彼 「ごめん」

私 「ううん、いいよ。 お仕事? 大変だね。」

彼 「いや 仕事じゃないんだ・・・・」

私は 深く訊けなかった。

訊けるような空気ではなかった。

ただ 彼の思いつめたような顔に 胸騒ぎがした。

私たちは あわただしく タクシーに乗り 

駅まで急いだ。

タクシーの中でも 二人は無言だった。

手も繋がなかった。

顔も 見なかった。

乗降口まで 急いだ。

走るように 急いだ。

彼は 改札を抜ける前に

ごめん   と言う。

わたしは ううん いいのよ と返す。

そして そのまま まっすぐ消えて行った。

一度も振り返らず・・・・

手をふることもせず・・・・

まっすぐ 消えて行った。

わたしは 彼の姿が 見えなくなるまで 改札で見送るしかなかった。

もし もし この結末を知っていたのなら

私は 彼の後を追い 彼と一緒に 新幹線に乗っただろう。

彼の地に着くまでの3時間だけでよかったのだ。

一緒に 行って 話を聴いてあげれば よかった。

彼の話を 彼の気持ちを聴いてあげれば よかった。

いや しかし 彼は それを望まなかったかもしれない。

独りの時間が欲しかったかもしれない。

私と逢った今日の数時間を後悔しているだろう彼が 

私と一緒に彼の地までいくことなんか

嫌だったはずだもの。

しばらくすると 彼から メールが着た。

「今日は ごめん。 落ち着いたら 理由を話すよ。」

それだけだった。

私は 嫌な予感で胸騒ぎがした。

家に帰り 部屋で うずくまっていると

涙が あふれてくる。

なんでだろう?

なんの涙?

ただただ 不安だった。

真夜中 12時半・・・・・

彼から メールが着た。